日大工 総合教育 樋口幸治郎
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工科系数学I及び演習 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
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Wahrlich es ist nicht das Wissen, sondern das Lernen, nicht das Besitzen sondern das Erwerben, nicht das Da-Sein, sondern das Hinkommen, was den größten Genuss gewährt.
知識ではなく学びに, 所有ではなく獲得に, そこにいることではなく到達にこそ, 大いなる喜びがもたらされる.
--- Carl Friedrich Gauss
「Farkas Bolyaiへの手紙」より カール・フリードリッヒ・ガウス
対数微分法を学ぶ(教科書p69-73).
関数$f(x)$について, $f(x)> 0$のとき, 合成関数の微分公式から $$\left(\log f(x)\right)^\prime=\dfrac{f^\prime(x)}{f(x)}$$ が成り立つ. 両辺に$f(x)$を掛けた形で書けば, $$f^\prime(x)=f(x)\left(\log f(x)\right)^\prime$$ とも書ける. これらの等式を用いて微分を計算する方法を対数微分法という.
例 以下では対数微分法によって計算する.
$\left(\dfrac{(x+1)^3(x+2)^2}{(x+3)^4}\right)^\prime=
\dfrac{(x+1)^3(x+2)^2}{(x+3)^4}\cdot\left(\log\dfrac{(x+1)^3(x+2)^2}{(x+3)^4}\right)^\prime$
$=\dfrac{(x+1)^3(x+2)^2}{(x+3)^4}\cdot\big(3\log(x+1)+2\log(x+2)-4\log(x+3)\big)^\prime$
$=\dfrac{(x+1)^3(x+2)^2}{(x+3)^4}\left(\dfrac{3}{x+1}+\dfrac{2}{x+2}-\dfrac{4}{x+3}\right)$
$\big(x^x\big)^\prime=x^x\cdot\left(\log x^x\right)^\prime=
x^x\cdot\big(x\log x\big)^\prime=
x^x\cdot((x)^\prime\cdot\log x+x\cdot(\log x)^\prime)=
x^x(\log x+1)$
対数微分法を用いると既に示した公式の簡潔な別証明を与えることができ, 公式を思い出すときに役立つ.
積の微分公式$(fg)^\prime=f^\prime g+fg^\prime$の別証明を与える. $$\log fg = \log f + \log g$$ なので両辺を微分すれば, $$\dfrac{(fg)^\prime}{fg} = \dfrac{f^\prime}{f} + \dfrac{g^\prime}{g}$$ 両辺に$fg$を掛けると $$(fg)^\prime=fg\left(\dfrac{f^\prime}{f}+\dfrac{g^\prime}{g}\right) =f^\prime g+fg^\prime$$ が得られる.
商の微分公式$\left(\dfrac{f}{g}\right)^\prime=\dfrac{f^\prime g-fg^\prime}{g^2}$の別証明を与える. $$\log \dfrac{f}{g} = \log f - \log g$$ なので両辺を微分すれば, $$\dfrac{\left(\dfrac{f}{g}\right)^\prime}{\left(\dfrac{f}{g}\right)} = \dfrac{f^\prime}{f} - \dfrac{g^\prime}{g}$$ 両辺に$\dfrac{f}{g}$を掛けると $$\left(\dfrac{f}{g}\right)^\prime=\dfrac{f^\prime}{g}-\dfrac{fg^\prime}{g^2} =\dfrac{f^\prime g-fg^\prime}{g^2}$$ が得られる.
定理 関数$f,g,h$について $$(fgh)^\prime=f^\prime gh+fg^\prime h+fgh^\prime$$ が成り立つ. 3つ以上の関数の積の微分についても同様の公式が成立する.
証明 対数微分法で計算する. $$\log(fgh)=\log f+\log g+\log h$$ であるから, 両辺を微分すると, $$\dfrac{(fgh)^\prime}{fgh}=\dfrac{f^\prime}{f}+\dfrac{g^\prime}{g}+\dfrac{h^\prime}{h}$$ であり, 両辺に$fgh$を掛ければ, 公式が得られる.
接線の方程式の求め方を学ぶ(教科書p36,p74-76).
$y=f(x)$の$x=a$での微分係数$f^\prime(a)$は, 点$P(a,f(a))$における曲線$y=f(x)$の接線の傾きを表す. 従って, 点$P(a,f(a))$での接線の方程式は $$y-f(a)=f^\prime(a)(x-a)$$ で求められる. これは $$y=f^\prime(a)(x-a)+f(a)$$ と書くこともできる.
例 $y=x^3-4x$のグラフ上の点$P(1,-3)$における接線の方程式は, $$\left.y^\prime\right|_{x=1}=\left.(x^3-4x)^\prime\right|_{x=1}=\left.(3x^2-4)\right|_{x=1}=-1$$ であるから, $$y=-(x-1)-3=-x-2$$ で与えられる.
課題 教科書p82の演習問題Aの1から2問以上解きなさい.