日大工 総合教育 樋口幸治郎
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二項分布(教科書p137-143).
定義 異なる$n$個のものの中から$k$個を取り出して, さらにそれを一列に並べたものを順列といい, このような順列の総数を$_nP_k$と書く. $$_nP_k=\overbrace{n(n-1)(n-2)\cdots(n-k+1)}^{k個}=\dfrac{n!}{(n-k)!}\tag{1}$$ が成り立つ. 但し, $0!=1$と規約する.
定義 異なる$n$個のものの中から$k$個を取り出してできる(順番を考えない)組を組合わせといい, その総数を$_nC_k$又は$\binom nk$と書く. 順列は$n$個から$k$個取り出して得られた組合せを, 一列に並べて得られるのだから $$_nP_k=\ _nC_k\cdot\ _kP_k$$ が成り立つ. 順列の総数の公式(1)から $$\binom nk=\ _nC_k=\dfrac{n!}{r!(n-k)!}$$ が成り立つ.
二項定理 $$(p+q)^n=\sum_{k=0}^n\binom{n}{k}p^kq^{n-k}$$ が成り立つ. これは, $$(p+q)^n=\overbrace{(p+q)(p+q)(p+q)\cdots(p+q)}^{n個}$$ を式展開するとき, $p^kq^{n-k}$の項の数が, $n$個のカッコの中から, $k$個のカッコから$p$を選び, 残り$n-k$個のカッコから$q$を選んで掛け合わせる組み合わせの総数$\binom nk$となるからである.
定義 有り得る結果が二種類であるようなある試行(コイントスなど)を繰り返し行うことを考える. 各試行が独立同分布であるとき, これをベルヌーイ試行(列)という.
定義 ある試行を$n$回行うようなベルヌーイ試行において, 1回の試行で事象$A$が起こる確率を$p$とし, 事象$A$が起きる回数を確率変数$X$とすれば, $$P(X=k)=\ _nC_k p^k(1-p)^{n-k}\qquad(k=0,1,\cdots,n)$$ となる. この確率分布を二項分布といい, ${\rm Bin}(n,p)$と表す. また, 確率変数$X$は, パラメータ$n,p$の二項分布に従うという.
定理 ${\rm Bin}(n,p)$に従う確率変数$X$について, $$E(X)=np\qquad V(X)=np(1-p)$$ が成り立つ.
$$\begin{align} E(X)&=\sum_{k=0}^nkP(X=k) =\sum_{k=1}^nkP(X=k) =\sum_{k=1}^nk\binom{n}{k}p^k(1-p)^{n-k} =\sum_{k=0}^{n-1}(k+1)\binom{n}{k+1}p^{k+1}(1-p)^{n-(k+1)}\\ &=\sum_{k=0}^{n-1}n\binom{n-1}{k-1}p\cdot p^k(1-p)^{(n-1)-k} =np\sum_{k=0}^{n-1}\binom{n-1}{k-1}p^k(1-p)^{(n-1)-k} \underset{二項定理}{=}np(1+(1-p))^{n-1} =np \end{align}$$ $$\begin{align} E(X^2)&=\sum_{k=0}^nk^2P(X=k) =\sum_{k=1}^nk^2P(X=k) =\sum_{k=1}^nk(k-1)P(X=k)+\sum_{k=1}^nkP(X=k) =\sum_{k=1}^nk(k-1)P(X=k)+E(X)\\ &=np+\sum_{k=2}^nk(k-1)P(X=k) =np+\sum_{k=2}^nk(k-1)\binom{n}{k}p^k(1-p)^{n-k} =np+n(n-1)p^2\sum_{k=0}^{n-2}\binom{n-2}{k-1}p^k(1-p)^{(n-2)-k} \underset{二項定理}{=}np+n(n-1)p^2 \end{align}$$ $$ V(X)=E(X^2)-E(X)^2 =np+n(n-1)p^2-(np)^2 =np-np^2 =np(1-p) $$