日大工 総合教育 樋口幸治郎
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確率変数や確率分布, 及び, これらに関する用語を学ぶ(教科書p75-83).
無作為に日本人を一人選び出すという試行に対し, 結果として選び出された人の年齢が20代である確率はどのくらいか, ということを考えることは, 日本人全体という標本空間$\Omega$のそれぞれの要素について, 数への年齢対応$X$(つまり関数)を考え, 事象$\{p\in\Omega\mid 20\le X(p)<30\}$の確率(これを$P(20\le X<30)$とかく)を考えることと言える. このような関数$X$を確率変数という.
定義 標本空間$\Omega$と$\Omega$上の確率$P$について, $\Omega$の要素に数を割り当てる関数$X$を確率変数という.
$X$についての条件$...X...$に対して, $$P(...X...)$$ と書くとき, これは条件により定まる事象$\{p\in\Omega\mid ...X(p)...\}$の確率 $$P(\{p\in\Omega\mid ...X(p)...\})$$ の略記である.
例えば, $$P(0\le X<10),\qquad P(X\le 100),\qquad P(X=1)$$ などと書く. このように書いたときにはいつでも, 確率変数$X$の条件が定める事象$A$に対し, 確率$P(A)$の値が定義されているものと約束する.
標本空間$\Omega$が数からなる場合, つまり, $\Omega\subset\mathbb{R}$のときは, 確率変数として恒等関数を取ることが多い. 例えば, 賽を投げる試行や, 何かの待ち時間の試行に対して, 結果の値を対応させる確率変数をよく考える. このような場合には, $X$は標本空間の要素を動く変数と考えた方が分かりやすい.
定義 確率変数$X$の取り得る値が整数のみであるとき, 確率変数$X$を離散型確率変数という.
定義 確率変数$X$が実数$\mathbb{R}$のある区間の値をくまなく取り得るとき, 確率変数$X$を連続型確率変数という.
例えば, 確率変数$X$がサイコロの目を動く場合, 離散型である. また, 確率変数$X$が何かの待ち時間を動く場合, 連続型である.
定義 離散型確率変数$X$に対し, $X$の取り得る値$x_1,x_2,\cdots$に対し, それの確率を対応させる関数 $$f(x_i)=P(X=x_i)$$ を$X$の(離散型)確率分布という.
例えば$X$がサイコロの目を動く確率変数で, $f$をその確率分布とすれば, $$P(Xは偶数)=f(2)+f(4)+f(6),\qquad P(1\le X\le 3)=f(1)+f(2)+f(3)$$ のように, $X$についての確率は確率分布の総和で表すことができる.
定義
連続型確率変数$X$に対し,
次を満たす関数$f(x)$を(連続型)確率分布, または, 確率密度(関数)という:
(1) $f(x)\ge 0,\quad{}^\forall x$
(2) $P(a\le X\le b)=\displaystyle\int^b_af(x)dx,\quad {}^\forall a,b (a< b)$
連続型確率分布の条件から, $X$についての確率は確率分布の積分で表すことができる.