日大工 総合教育 樋口幸治郎
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(教科書p176-179).
定義 $n$個の無作為標本 $X_1,X_2,\cdots,X_n$ から定まる $$\bar{X}=\dfrac{1}{n}\sum_{i=1}^nX_i\qquad S^2=\dfrac{1}{n}\sum_{i=1}^n(X_i-\bar{X})^2$$ をそれぞれ標本平均, 標本分散という. また, $S$を標本標準偏差という.
定義 母分布が正規分布$N(\mu,\sigma^2)$である母集団を 正規母集団という.
定理 母分布が正規分布$N(\mu,\sigma^2)$に従うとき, n個の無作為標本$X_1,X_2,\cdots,X_n$に対する標本平均$\bar{X}$は, 正規分布$N\left(\mu,\dfrac{\sigma^2}{n}\right)$に従う.
定理 母分布の平均が$\mu$, 分散が$\sigma^2$であるとき, n個の無作為標本$X_1,X_2,\cdots,X_n$に対する標本分散 $$S^2=\dfrac{1}{n}\sum_{i=1}^n(X_i-\bar{X})^2=\overline{X^2}-(\bar{X})^2$$ の平均$E(S^2)$は $$E(S^2)=\dfrac{n-1}{n}\sigma^2$$ で与えられる. 従って, $$U^2=\dfrac{n}{n-1}S^2=\dfrac{1}{n-1}\sum_{i=1}^n(X_i-\bar{X})^2$$ とおけば $$E(U^2)=\sigma^2$$ が成り立つ.
証明 $$\begin{align} &E(S^2) =E(\overline{X^2}-(\bar{X})^2) =E(\overline{X^2})-E(\bar{X}^2) =E(\overline{V(X)+E(X)^2})-E(V(X)+E(X)^2)\\ &=E(\overline{\sigma^2+\mu^2})-E\left(\dfrac{\sigma^2}{n}+\mu^2\right) =(\sigma^2+\mu^2)-\left(\dfrac{\sigma^2}{n}+\mu^2\right) =\dfrac{n-1}{n}\sigma^2 \end{align}$$ である. よって, $$E(U^2)=E\left(\dfrac{n}{n-1}S^2\right)=\dfrac{n}{n-1}E(S^2)=\sigma^2$$ が成り立つ.
定義 $n$個の無作為標本 $X_1,X_2,\cdots,X_n$ から定まる $$U^2=\dfrac{1}{n-1}\sum_{i=1}^n(X_i-\bar{X})^2$$ をそれぞれ不偏分散といい, $U$を不偏標準偏差という.
先の定理から $$E(S^2)=\dfrac{n}{n-1}\sigma^2\qquad E(U^2)=\sigma^2$$ であるから, 母集団の一部の標本から母分散$\sigma^2$を推定するには, 標本分散$S^2$よりも不偏分散$U^2$を用いる方が良い.